「だって……嬉しくて……」

女性は泣きながら笑う。

「……こんな私でよければ、お嫁さんにしてください」

カフェの中が一気に祝福ムードに包まれた。僕も先輩たちと一緒に、「おめでとうございます」と言った。

男性が女性の薬指に指輪をはめる。その光景がとてもきれいで、僕は思わず見とれてしまった。

美桜ちゃんは僕がこの想いを伝えたら喜んでくれるのだろうか?幸せで満たされている二人を祝福しながら、ふと頭の片隅に美桜ちゃんの笑顔が浮かぶ。

結婚というものは、高校生の僕にはまだまだ遠い未来の出来事だ。でも、もしも理想が叶うのならば……。

美桜ちゃんと両想いになって、いろんな思い出を作りたい。そして今の二人のように指輪をはめたい。永遠の誓いをいつかしたい。

そんな遠い未来のことまで願うのは全部、美桜ちゃんのことだけだ。



僕は矛盾した最低な人間だ。

断ることができなくて、誰にでもいい顔をして、美桜ちゃんを傷つけた。

それでも、この想いだけは真っ直ぐだと信じたい。