美桜のおすすめの本は、恋愛とファンタジーが多い。翔が全く読まないジャンルだった。

それでも、美桜のおすすめなら読んでみたいと翔は思った。本のあらすじを熱く語る美桜を翔は微笑んで見つめた。

「この小説は「四季」をテーマに書かれた本なんだ。一冊にたくさんの作家さんの小説が読めるんだよ！」

美桜が「四季」というタイトルの本を手に取る。きれいな絵が描かれた表紙に、翔の目が奪われた。

雪の結晶や、桜の花びらなど季節を表すものが描かれている。その表紙の中央には、手を絡める男女がいた。その表情はとても幸せそうだ。

「……きれいだな」

「私もこの表紙がきれいだったから、読んでみたの！きれいだよね」

翔の呟きに美桜は嬉しそうに目を輝かせながら言った。

この男女はカップルなのだろうか？男性が愛おしそうに女性を見つめている。その絵を見て、翔は自分も美桜を見ている時、同じような目をしているのかと思うと体じゅうが熱くなった。

「翔くん、大丈夫？顔が赤いけど…熱？」

美桜の声に翔は顔を上げた。心配そうな顔にもドキドキしてしまう。

「いや、大丈夫だ。えっと……その…美桜は好きな季節はいつなんだ？」

赤い顔を誤魔化すように翔は目をそらし、知っているのに質問をした。