翔が真っ赤な顔で言った。

「……初詣」

美桜も「そっ、そうだね」と赤くなりながら言った。

二人で並んで参道を歩き、翔は神様に強く願った。

ーーー『美桜が俺の隣で幸せになりますように』と。

お守りを一緒に買い、おみくじも引いた。美桜は中吉。翔は大吉だった。

「いいな〜」

美桜が羨ましそうに言う。おみくじをポケットに入れながら翔は言った。

「普通が一番いいと俺は思う」

「そうなの?」

おみくじを木に結ぶ美桜を見つめながら、翔は思った。

美桜といれば、たとえ引いたのが大凶でも幸せになれる、と。



冬休みが終わり、また学校が始まった。歩いているとあちこちから「ダルい」という言葉が聞こえてくる。しかし、翔は学校が待ち遠しかった。嫌でも好きな人に会えるからだ。

「美桜!」

椿と並んで歩く後ろ姿に声をかける。

「翔くん、おはよう」

美桜は少し緊張したように言った。

「冬休みの宿題、数学が難しかったな」

「う、うん。英語もちょっと難しかったかも……」

美桜と話しながら歩いていると、翔は感じたくない視線を感じた。蓮だ。

椿が冬休み前に蓮と何を話したのかは聞いていない。しかし、蓮が美桜と仲直りをしていることを翔はクリスマスに実感している。

後ろを少し振り向けば、空と話しながらこちらをじっと心配そうに見つめる蓮の姿があった。

不安になりかけた翔の頭に、ふとある考えが浮かんだ。あの時美桜を泣かせた罰になると思い、翔は蓮に近づいた。