翔は美桜の手を掴み、美桜を真っ直ぐ見つめる。美桜の顔が赤い。寒さではなく、ときめきであってほしいと翔は思った。

「俺は、美桜を守りたい。絶対に泣かせないし、傷つけない。だから……俺を見てほしいんだ」

「でも……私は……」

またうつむく美桜を、強く翔は抱きしめた。美桜は驚いて「放して」と言うが、暴れたりしない。美桜が抵抗をしないことに、翔は嬉しくなる。

「美桜があいつのことを好きなのは知っている。だけど、俺は諦めない。だってお前が…俺の心を取り戻してくれたから」

抱きしめた美桜の細い体に、温かい体温に、すぐ近くに聞こえる声に、翔の心が幸せでいっぱいになる。泣きたいほど嬉しくて、翔は抱きしめる腕に力を込める。

「好きだ。ずっと変わらない。大好きだ」

しばらく美桜を抱きしめた後、翔は美桜を離し、美桜を見つめた。

美桜の顔はさっきよりも赤くなっている。翔は美桜の頰に触れた。熱が翔の手に触れた。

「返事はしなくていい。……ただ、この気持ちは変わらないし、お前のことを諦めるつもりはない」

そう言い、翔はその場から離れた。歩く足が早まる。

胸の鼓動が早まっていく。頰や体が熱い。

「……告白……した……」

明るく照らされて街中で、ぽつりと翔は呟いた。