four seasons〜僕らの日々〜

翔はパンフレットを見つめ、美桜に話しかけた。

「美桜、ペンギンは好きか?」

美桜の顔が明るくなる。

「好き!」

そう言いながら、美桜は右手の人差し指を伸ばして喉にあて、指を下げて閉じた。手話で『好き』だ。

翔がふと横を見ると、その手話を見た一瞬だけ蓮の頰が赤くなった気がした。

「蓮くん?」

美桜が蓮を見つめる。蓮は「何?」と笑いながら言う。

「何でもない」

「何それ。気になるよ〜」

そう言う二人に翔は言った。

「早く行った方が良さそうだ。ここで立ち止まっていると邪魔になる」

多くの人が道を行ったり来たりしている。美桜と蓮は頷いて歩き出した。

翔は、美桜が歩き出したことに安心した。あのまま蓮と話している姿を黙って見ていることなど、翔にはできないと思った。

そして、歩きながらふと翔は考える。いつからこんなにすぐ不安になったりするようになったのか、と。



しばらく魚などを見た後、翔たちはお昼を食べに館内にあるレストランへと向かった。海が見えるきれいなレストランだ。

美桜はハンバーグを、蓮はカレーを、翔はうどんを頼み食べる。

「おいしい!」

「うん、おいしいね」

美桜と蓮が笑う。翔も恐る恐る感想を言うことにした。

「うん…。おいしい……」

人前でこんなことを言ったことがなかったので、翔は一気に恥ずかしくなってきた。美桜や蓮のキョトンとした表情を見るのが辛く、うつむいてしまう。

「うん。おいしいよね」

美桜の優しい言葉に、翔は顔を上げる。美桜が優しく微笑んだ。翔は一生懸命頷いた。

三人でいろいろなことを話しながら、お昼を食べた。誰かと一緒にご飯を食べるのは久しぶりで、翔の胸が温かくなる。一緒に食べているのが美桜だからなおさらだ。