「行ってきま〜す!!」

「行ってらっしゃい!気をつけてね」

美桜がドアを開けると、春の優しい風が髪を撫でた。

「明日から学校だね。あ〜あ、もうちょっと遊びに行けばよかったなぁ…」

美桜が風の心地よさに目を細めていると、隣でお姉ちゃんがあくびをしながら言った。

「お姉ちゃん、春休み中いっぱい遊びに行ってたと思うよ」

「え〜?そうかな」

美桜が家にこもっている間ずっと、お姉ちゃんは友達と映画を観に行ったり、遊園地や水族館に行ったり、誰が見ても楽しい春休みを過ごしていた。

「お姉ちゃん受験生でしょ?行きたい大学があるって言ってなかったっけ?」

お姉ちゃんが勉強している姿を、美桜は春休み中に一度も見ていない。

「わっ、私は外で勉強する派なの!!」

お姉ちゃんは顔を真っ赤にしながら歩き出した。