シャキシャキという音を楽しみ、フレンチトーストに手をのばす。ほんのりと優しい甘みが口に広がった。

「そういえば、凛ちゃんも高校一年生になるのね。高校はどこに行ったのかしら…」

お母さんがそう言うと、「そうか。美桜と同い年だったなぁ」とお父さんが隣で言った。

その名前を聞いて、美桜の食事をする手がぴたりと止まった。

昨日のことのように思い出すのは、あの寂しさの混じったあの笑顔。

指先が冷たくなっていくーーー。

「あっ!美桜の行く高校の制服見たけど、すっごくかわいいよね!私も美桜と一緒の学校だったらよかったかも〜」

お姉ちゃんがそう言うと、「あんたの学校の制服もかわいいじゃない」とお母さんが言い話ががらりと変わった。

ほっと安心すると、指に体温が戻ってきた。

ありがとう、と美桜は心の中でお姉ちゃんに呟いた。