困らせている、そうわかっていても女の子の気持ちは抑えられなかった。

「ねえ、それであなたはいいの?」

少女は問いかける。

本棚はぐちゃぐちゃに荒れ、まるで泥棒に入られたかのようだ。それでも、少女は話し続ける。

「今のあなたは、彼を縛っているだけ…。そんなのあなたが憧れたお姫様じゃない。…あなたはまるで雪の女王よ」

カイを連れ去り、ゲルダを悲しませた女王ーーー。

「ハハッ……あはは……」

女の子は泣きながら笑った。悲しい本が積み上がり山となっていく。

少女が近くにあった本を手に取る。そして本棚にしまおうとした時、本棚がガラガラと音をたてて崩れた。

「……ッ」

少女は何も言えず、呆然と崩壊した本棚を見つめた。