人があふれ、賑やかな町。蓮の姿を見つけた時、女の子の胸はズキンと痛んだ。

蓮が知らない女の子と話している。その顔は自分といるよりずっと楽しそう……。そう女の子は思った。

蓮が頰を赤くしながら女の子と話す。あんな好きな人の姿を女の子は今まで見たことなどない。きっと蓮はーーー。

「どうしたの?」

肩に手を置かれ、女の子は振り向いた。一緒に遊ぶ友達の空がいた。

「何でもない」

女の子は無理に笑い、蓮を呼んだ。



それから、胸が苦しくなることが多くなっていった。

蓮は美桜のことばかり見ていて、消えてしまいたいと何度も思った。

心の中の本には、失恋や悲しい別れの本が並んでいく。