「大変だね」とたくさんの人が、女の子に声をかけた。女の子は何も言わず頷く。

大勢の人が泣いていたのに、女の子は泣くことができなかった。



心の中に悲しみが残ったまま、夜を迎えた。

その日の夕方、蓮に想いをぶつけて付き合うことになったのに、心の中に嬉しいという気持ちはどこにもない。

「どうして……?」

あふれてこぼれた涙は止まることを忘れたように流れ続ける。

心がまた変わっていく。

夢であふれた本は灰になり消えていく。その様子に少女は「待って!!」と叫んだ。

しかし、本はどんどん消えていく。少女の着ているドレスもみすぼらしい服へと変わっていった。

「嘘……」

少女はシンデレラから灰かぶりに変わった。



それから、幸せとは決して言えない時間が流れた。

女の子は知ってしまった。蓮に好きな人がいることを。