蓮の誕生日プレゼントも、バレンタインのチョコも特別な想いで用意して渡していた。でも、蓮にとって自分はただの友達なんだ。その現実を見せられ夢を見ていた自分が惨めになっていく。

「もうすぐ高校生だね」

「そうだね」

蓮と一緒の高校に入れて嬉しいはずなのに、素直に喜べない。むしろ逃げ出したい。

蓮に愛されたい。その想いはどんどん大きくなっていった。

そんな時、女の子はさらに絶望に突き落とされた。

涙を流す黒い服の人たち、大きな写真の中で笑うお父さん、耳を塞ぎたくなる長い言葉、そしてーーー狭い箱。

「亜希さんは来ていないの?」

「今、アメリカにいるんですって」

「まあ!旦那の葬儀に参加しないなんて、なんて非常識なのかしら!」

お母さんを罵る声が、女の子の耳に届く。うるさい!と女の子は怒鳴りたくなった。