昼休みになり図書室に向かうと満面の笑みで先生は迎えてくれた。

それが、生徒に向ける笑顔なら良いのだが・・・どこからどう見ても違う。呼び出した理由も勉強を教える等では無いだろう。

「真由ちゃん、こっちこっち」

「は、はぁ・・・」

「先生が教えるから隣に座って」

恐る恐る隣に座りノートを置くと覗き込むようにして先生が距離を詰める。

こんな美形に付き合ってくれなんて言われたら普通の人は喜ぶだろうが相手は先生なのだ簡単には決められない。

微笑む姿は、まるで王子様なのだ。

頭も良いし何で私なんかが好きになるのか理解出来ない。

冗談にしては悪趣味だ。

「そんな顔してどうかした?考え事?」

「いえ」

「何でも相談してね。俺はいつでも大歓迎だから」

ギュッと手を握られ曖昧に微笑むとニッコリと笑顔を向けられた。

すると先生の顔が近付いてくる。

「ちょっ、先生!」

パーソナルスペースに入られたせいか身体が拒否反応を示してドンッと先生を押し返してしまう。

少し寂しそうな表情をする先生に悪い事をしたと直ぐに罪悪感が込み上げる。

「す、すみません」

「今のは俺が悪かったよ。ごめんね」

謝ってくる先生は本当に悪いと思っているようで気まずい。

驚いたからと言って担任の先生を突き飛ばすような真似をするなんて・・・・・・非常識だと思いながら謝ろうと先生と目を合わせる。

「俺の事、嫌い?」

「ち、違います!そんな事は・・・」

「俺は大好きだよ。生徒なんて事どうでも良い。本気で君を好きなんだ」

真剣な瞳に胸が大きく高鳴るのを感じた。

バクバクと鼓動が早くなり先生の顔が近付いてくる。後頭部に手が回りゆっくりと浅く口付けられるが今度は抵抗しなかった。

何故か嫌だとは思わなくて大人しくしていると、満足そうな表情をしている先生と目が合った。

「俺だけと一緒に居てね?」

その言葉の後に、もう一度口付けられる。

今度は深く甘いキスを。