荷物って何だろうと思っていると先生は図書室に入った。

本?疑問に思いながら中に入ると、

「ああ・・・やっと、2人きりになれた」

「せ、先生?」

「名前は何ていうの?好きな物は?好きなタイプはどんな人?」

急な質問に戸惑っていると不意に手を握られる。

は?え?どうなってるの?

もはや、パニック状態の頭で目の前の先生を見ると先程のクールさは何処に行ったのか、緩んだ瞳で私を見つめている。

「具合でも悪い?保健室まで連れて行こうか?」

「へ、平気です!」

「良かった。何かあったら何でも言って」

「ど、どうも?」

ニッコリとイケメンスマイルを向けられて少々返事に戸惑った。

頭の中を整理してみよう。

先程まではクールでイケメンな先生だったのに、何故急にスキンシップが激しい謎の先生になっているの?

「実は君に一目惚れしちゃった」

「はい?」

「目が合った瞬間、俺の傍に居て欲しいって思ったんだ。だから付き合ってくれない?」

もしかして、私は夢を見ている?それとも、幻覚と幻聴なのだろうか。

冗談では無いらしく真剣な目で私を見つめる目に溜息がでかけるが、その前に状況か理解出来ない。

何で私が先生と付き合わないといけないのだろうか。

それに、好かれる事はしていないが・・・。

「あの・・・・・・急に返事を返すのは無理です」

「そっか・・・」

「それに、先生の事を良く知りません。ですから返事が決まったらお伝えしますね」

遠回しに付き合えないのだが、伝わってないらしく先生は笑みを絶やすことなく私の手を握っている。

こういう展開はドキドキするものだと思っていたが、逆に妙に冷静になれる。

「優しいね。うん、出来る限り待つ」

「あ、ありがとうございます」

「だから、君も俺以外に可愛い顔を見せないでね?」

夢であって欲しい。

心の何処かで誰かが呟いた。

頼むからこの夢を早く終わらせて、いつもの平凡な日常に戻りたいと私は目の前のキラキラとした笑顔を向けてくる先生を見て思った。