幸せ自慢のようにも聞こえる
不幸自慢を日向は包み隠さず
話してくれた。

珀斗「何ヶ月も家に帰ってこなくてもさ
ちゃんと俺の学費も生活費も口座に
振り込んでくれてたし、俺のせいなのに
たまに顔を合わせると決まり文句みたく
珀斗は気にしなくていいって言われてさ。
負い目っつーのかな?
そうゆうの俺も感じてたから。
多分、真山と俺は同じだよ。」

さっきまで項垂れていた昴が
息を吹き返した魚のように
ようやく顔を上げた。

昴「まだ聞いてねぇぞ、真山。
お前のいい話はどこへいった?」

いつもの昴がそこにはいた。
だから、俺は昴のそばを
離れられない。
昴のその表情を見たくて。
大切な物を守る昴の姿を
目に焼き付けておきたくて
離れられなくなる。

真山「...俺は両親が死んでから
ずっとそう思ってた。
でも、出会ったから。」

昴「出会った?」