「おい、桜宮」
呼ばれて振り返ると、そこには先程までの授業の担任であり恋人である谷口伶弥さんが居て思わずビクッと身体を揺らしてしまう。
綺麗な黒髪に透明な色の眼鏡を掛けておりスラッとした背丈で、顔は整っている。
「は、はい。何でしょうか」
「・・・来い」
急に手首を掴まれ引っ張られる。皆が見ていると思うと恥ずかしくなり腕を振り払うと先生は驚いたように目を見開いた。
先生に迷惑が掛かるような真似はしたくないから・・・
「ここで話して下さい、先生」
「もう良い」
不機嫌そうな顔で教室を去っていった先生の姿を皆はホッとしたような顔で見ていた。
良かった・・・バレてないみたい・・・・・・