花恋「そうゆう事...だったのね。」
遼「え?」
花恋「お父様に言われたの。
日比野の姓を名乗る事を条件に
民間企業で働く事を許すって。
その裏にはそんな意味が
込められていたのね。」
遼「あんたさ、そんな事も
知らなくて、その理由を
教えてもらう事も出来なくて
何で首を縦に振れるんだよ?」
花恋「どうして首を縦に
振ってはいけないの?」
遼「は?」
花恋「お父様は、お母様が早くに
亡くなってから一生懸命に
私の事を育ててくれたのよ。
確かに私は周りの方達が経験してきた
お母様との時間を知らないけれど
お父様とお母様と家族旅行をした
記憶もないけれど、それでもお父様の
愛情を感じる事は沢山あった。
お父様はいつも、私に謝ってた。
構ってやれなくてごめん。
母親との思い出を作ってやれなくてごめん。
そう何度も何度も私に謝ってた。
だけど、私はお父様のおかげで
寂しい思いなど一つもしなかった。」



