お嬢様を乗せた車内は しんと静まり返っていた。 私が執事になってから 車内がこんなにも静かだった事はない。 お嬢様は窓の外の景色を見たままで いつものようにミラー越しに こちらを見る事もなかった。 何を話そうか、そんな事ばかり 考えていた。 あと数分で屋敷に着く頃 お嬢様の小さな声が聞こえる。 花恋「いつから、あそこにいたの?」 春川「お嬢様の名前を呼ぶ ほんの少し前ですよ。」