リオとレンは闇魔法の強化を、教会で行っている最中だった。


レン「そろそろ前もらった分じゃ足りなくなってきたぞ」


リオ「あぁ…、前は痛覚だったな。
そうだな、次は何が欲しい?
視覚、聴覚、それとも手足かい?」


レン「そこはお前の好きにしろよ」


レンはリオの自分への容赦無さにため息を吐いた。
魔法の強化、そして悪魔と契約している場合は自分の身体の何かしらを悪魔に授けなければならない。


リオ「そうだな、じゃあ右目の視力でいい」


レン「(コイツ…) はいよ…」


レンはリオの右目に自分の唇を当て、視力を奪い取った。
レンの首元に禍々しい魔法陣が浮かび上がり、リオの足元にも魔法陣が浮かび上がった。


レン「(もう少し躊躇するとか何か普通はあんだろ…)
はい、ごちそーさん」


リオ「例を言いたいところだがどうやら客人がいるらしい」


リオは協会のドアの方を振り返った。
いつの間にかドアは開いており、昼の日差しが差し込んでいた。
そこに立っていたのはタクミとチナだった。


リオ「久しぶりだな、タクミ」


タクミ「リオ……ッ!?」


レン「またお前らか」


レンは面倒臭そうにタクミを見た。


タクミ「お前、一体何が目的なんだ!?」


するとリオは笑顔を崩さずこう言った。


リオ「この国の破滅と主の失堕さ」


タクミ「お前、自分の産まれた国を壊すのか?
僕らを守りたもう主に、仇なすっていうのか?
お前、俺に教えてくれたじゃないか、神様はいるって…!!」


するとリオは突然真顔になり、タクミを睨みつけた。


リオ「慈悲深い神様なんて信じたことはないけどな。
片時もな」


リオが右腕を伸ばし、人差し指を上げる仕草をすると、屍が次々と土から這い上がってきた。


タクミ「屍体術!?
お前、いくつ禁書に手を出したんだ!?」


リオ「さあな?」


屍達が次々とタクミに襲いかかる。
何とか光魔法で屍達を浄化していくが、量が多すぎてタクミの手には負えなくなってきた。


タクミ「…チナ! チナ!!」


チナに助けを呼ぶがチナから返事は帰ってこない。