なーん
白銀色に光る綺麗な犬歯を見せるように、足元の黒猫は鳴いた

猫が、喋りかけてきたってのか?

まさかまさか、流石にそれはファンタジー過ぎる。

あまりにも飛んだ自分の考えに思わず笑いそうになる

なぁぁぁん…。

黒猫が首を振る。何かを取り払うように。
すると、凛と澄んだ鈴の音が響いた。

それはまるで、言い表すなら風鈴のような、涼しく可愛げのある音でありながら、真夏に聴くセミの大合唱のような衝撃と白鳥が作る綺麗な波紋のような形をした美声の衝撃。

言葉にすれば本当に複雑で、これほどまで共有が難しいものは感じたことがない。

黒猫と目が合う。
見えているのか分からない白銀の目。
何もかも見透しているようなその目。

見ているうちに、気付けば胸が中から、強く俺を叩きつけていた