母に嘘をついた後、決まって行くところ…。

それは、町の坂を登ったところにある森だ。

最初は家の比較的近くで遊んでいたのだが、

事あるごとに後ろ指をさされた。

近所の人には

「ほら、あの子。最近戻って来た由ちゃんとこの悠ちゃん。まだ、友達ができないのかしら…?」

学校の子には

「あ、中宮さんじゃない?」

「あー、全然喋んない子?」

いつ、お母さんに一人で遊んでいることがバ

レるかも分からない。

そこで、選んだのが町から少し離れて、畑を

手入れする人もなかなか来ないような森を遊

び場に選んだ。