緑が多い。

それだけが取り柄のような小さな町。

それが、私が最近越してきた町だった。

数年前までは町でもなく、ただの村だったよ

うで、今も町と呼べるかと聞かれると正直、

疑問だ。

小学四年生の私はその町の小学校に通い始め

たのだが、どうやら学校に通う人は昔からの

知り合いか親戚のようで、完璧にコミュニテ

ィが出来ていて、入る隙は無かった。

ひとりが嫌かと言われるとそうでもないのだ

が、見知らぬ土地と人に囲まれるとやはり人

間の性なのが胸の何処が悲鳴をあげる。

だが、女手一つで私を育ててくれている母の

地元を批判する気には慣れなくて、私は毎日

、母に嘘をついた。

「学校、いい子ばかりでしょう?友達、出来た?」

「うん、今日も友達と遊んでくるね!」

こんな調子に…。