皐月って、そういう所までちゃんと考えてるんだ。


偉いな。


「あ、いっちばん奥空いてる!」


「日和、バスで走んない」


私はつい興奮していた。


だって、この時間に奥の席が空いてるなんて珍しいんだもん。


急いで奥まで行って、席を陣取る。


「やっぱ寝心地いい~」


そう、1番後ろの席って寝るのにちょうどいい。


「ほんとだ」


皐月は私に少し苦笑いしていたけど、今は私と同じ表情してる。


「でしょ~!」


「なんで日和が褒められたみたいな顔してるの」


「え、そんな顔してる?………まぁ、いっしょ!疲れたし、少し寝ます!」


私はそう宣言して椅子の背もたれをたおした。


「はいはい。おやすみ、日和」


「おやすみ」


内心、すっごく焦ってる。