予想はもちろん的中した。

「なんで清水翔太のことについて、詳しく聞かせて下さい!」

 コンピューター室の扉を開けると、待っていましたといわんばかりに、瞳をきらきらと輝かせた真奈美ちゃんが立っていた。不謹慎だとは微塵も思っていないようだ。ここまでくると逆に清々しさですら感じる。

「私もわからないの」

 その答えが不満だったらしく、真奈美ちゃんは白い頬を膨らませ、きりりと整った眉を吊り上げた。

「残念です。もうちょっと何か知りたかったなぁ」

 彼女は正直だ。それがいいところでもあり、悪いところでもある。

「先輩すんません。こいつ馬鹿なんで」

「うわっ」

 鮮やかな金髪をなびかせて、部屋の奥から颯爽と現れた鳴海くんは、真奈美ちゃんを元いた場所に強制的に連れ戻した。

「放してよ! この、ヘタレライオン!」

「……あとでお前の10円玉全部1円玉にしてやるよ」

「地味に嫌だ!」

 私と加藤くんは入口に突っ立ったまま、お互いに顔を見合わせ苦笑いした。ライオンと猫が喧嘩してる様は、なかなか可愛らしいのだ。