睦月はぱっと顔を上げて、笑った。

「俺らの秘密の約束だな。」

ってイタズラするみたいな顔でにかっと笑った。

あたしはその顔がかわいくてつい一緒に笑ってしまった。

「ほんとだね。」

睦月は小指をすっとあたしの目の前に突きつけて

「はい。…ゆびきり」

あたしも小指を出して

「「ゆーびきーりげんまん嘘ついたら針千本のーます。指きった!」」

一緒に歌って、一緒に小指を離す。

「「…ぷ」」

顔を見合わせて笑いあった。
なんだかおかしくて、睦月がかわいくて。


それに、これから笑いあえる時間が少なくなっていくことは充分知っていた。

だから

いっぱい笑いあった。

これから笑いあうことがなくても

大丈夫なように。