学校のげた箱で睦月は立ち止まった。

「足!どうしたんだ!?」


睦月は刺されたことに気づかなかったようだ。

スカートを履いてきたことに後悔した。

改めて見ると足は血だらけ、靴下は血で染まっていた。

「ぬ、抜かないほうがいいよな…。病院行かなくちゃ…」


明らかに動揺している睦月の声。


「寒い…」



血が流れ出たせいか急激な寒さがあたしを襲った。



「ん。ゆっくり、帰れる…か?」


ジャンバーをあたしにかけてくれた。

睦月の微かなぬくもりが残るジャンバー。

寒空の中



あたしたちはゆっくり帰る。


なにも話さない。だれも責めない。





ただ今、計画をやり遂げて





いい気はしなかった。達成感なんてものはなかった。


あたしはひろしに言った言葉を思い出した。



『それでなにか幸せは得たの?』


頭はその言葉が響きわたっていた。