手術中


その赤いランプの部屋の前に

あたしたちは立ち止まった。


「はぁ、はぁ…」


息が荒いあたしたちに

何も聞こえない手術室。






しんとしているここには本当に



死と生をあらそう


手術をしているのか不思議になるほど。





「座ろう…か。な」


自分に言っているのかあたしたちに言っているのか

わからない口調でおじちゃんは言った。


椅子にドスッと大きな音を立てて座る。


「おばちゃん…」



あたしは祈るように両手を重ねて

額にくっつける。


どうか…お願い。



おばちゃんは死なないで。あたしまだお礼言ってない。

あたしを引き取ったこと優しくしてくれたこと


本当の子供みたいに接してくれたこと。


まだ
いっぱい伝えたいことがある。

だから

まだ死んじゃ嫌だよ…