ハツコイ


「琉偉…ありがと…その、助けてくれて…」




裏庭まで来た時、急に柚が立ち止まった。



「ああやって、よく告白されてたの?」




そう問いかける俺に、遠慮がちにコクンと頷く柚。




「で、でもさっきの言い方…大丈夫?」



それから、柚が小さな声で呟いた。




「大丈夫って、なにが?」




「さっきの言い方…なんだか、私と琉偉が付き合ってるみたいに…聞こえちゃうんじゃない?」




気まずそうにそう言う柚に、俺はショックを受けていた。




だって…




「…柚は、そういう風に見られたら困るの?」




だって、そういうことだろ?




何も気にしてなきゃ、言いたいやつには言いたいこと言わせとけばいいじゃん。




そう、勝手に傷ついて落ち込んでいたら…





「…違うよ。琉偉が本当は好きな人いるのに、私と付き合ってることになっちゃったらいけないって…そう思ったの。」




そう言ってうつむいてしまった柚。




「私…琉偉の優しさに甘えて、つい一緒に帰ったりしちゃったけど、琉偉はたくさんの告白を断るくらいに好きな人がいて、その人のためにも、この関係…変えなきゃダメ、だよね…」




……ヤバイ。




さっきのショックはどこかへ飛んで行くほど、めちゃめちゃ嬉しいんだけど!!




ここで…





ここで言わなきゃ、男じゃない。




「柚…そんなに言うなら、俺たちのこの関係、変えようか。」