ハツコイ

スポーツテストは一日かけて行われたが、男子と女子はほとんど別行動だったため、あれ以来倉科とは話すどころか、姿も見ることはなかった。




そのまま帰宅時間になり、ガッカリしながら校門を出た。




すると…



校門を出たところで、倉科が立っていた。




そして…




「本当に一番だったね。すごく…かっこよかったよ。」




「倉科…」




欲しかった言葉を、くれた。





「…名前で呼んでくれるんじゃなかったの?」



「え、あ…本当にいいの?」




自分で言い出したくせに、勇気が出ない俺。




すると倉科が、立ち止まって俺を見た。





「うん。名前で…呼んでほしいな…」






「柚奈…」





ドキドキ…




「うん、琉偉…」




ドキドキドキドキ…




「柚…」



「……琉偉。」




何だろ、この感じ。




なんだかスゲーいい感じじゃねえ?