ハツコイ

数日後、スポーツテストの日がやってきた。



「A組の男子は、50メートル走からな〜。」




先生の掛け声の方へ向かおうとした時だった。




「安座間くん、がんばってねっ。」




倉科天使からの、控えめなエール。



それが嬉しくて、ついカッコつけてしまった。



「絶対一番になるから。…約束な?」




そんな俺の言葉に、倉科はふふっと笑う。



「約束?もし破ったらどうするの?」




そう来たか。



「そうだなあ。じゃあ、倉科の言うこと何でも聞くよ。」



「ホントに〜??」



楽しそうに笑う倉科。



そんな倉科に、続けて言った。




「逆に…もし約束守れたら、俺の言うことを聞いてほしい。」




「え…?何を?」




こんな大胆になって大丈夫なのかな、俺。



そう思いながらも…




「約束守れたら、俺のこと名前で呼んでほしい。俺も倉科のこと、名前で呼びたい。」




そう言っていた。