「お、あった!」
「本当だ、懐かしい!!」
黄色のパッケージの、ゆずシャーベット。
10年前と変わらず、コンビニに売られていた。
琉偉はそれを1つだけ取ってレジに持って行く。
「…?」
あの頃は、必ず二つ手に取ってレジに向かったのに。
やっぱりいらないとか…?
「お待たせ。なあ柚、アパートの近くに公園あるの知ってる?」
「あったっけ?知らない…」
「じゃ、行こ。」
家に帰ればいいのに…なんて思いながらも、もう少し琉偉といられることを素直に喜ぶ自分もいた。
「本当だぁ。こんなところに公園あったんだ!」
「あんまり人いるの、見たことないけどな。」
そう言ってベンチに座る琉偉。
私もその隣に座るけど…
昨日の、ソファーでの密着座りを思い出してしまう。
「はい、柚。」
「あ、ありがと。」
琉偉から受け取ったシャーベットを一口食べてみた。
「…美味しい!味変わらないよ、これ。」
懐かしい味のゆずシャーベット。
胸がキュンとして、ちょっと切ない味。
二口めを食べようとしたら…
「俺にも一口ちょーだい。」
と、琉偉が口を開けていた。
「一個全部食う自身はなかったからさ。柚に貰おうと思って。」
パカっと口を開けて待っている琉偉。
そんな琉偉の口に、一口シャーベットを入れた。
「本当だ、懐かしい!!」
…これって間接キス、じゃん。
そりゃあ、高校の時キスしたから、今さらって感じかもしれないけど…
なんだか、すごく意識しちゃうじゃない。

