「相変わらず面白いな、柚のお父さんとお母さん。」



琉偉がネクタイを緩めながら、ふふっと笑う。




「相変わらずでしょ?帰国子女ってのも何十年も前の話だよ?なのに、今でもずっとあんな感じなの。」



「でもいいじゃん、ラブラブな感じで。それにしても、そんなご両親から生まれた柚なら、もっとスキンシップしてくれてもいいのにねー?」



「う…」



お母さんたちみたいに、平気ではいられないよ。



だって、こんなに色気全開の琉偉に触れちゃったら最後。





もっと、もっとって…



自分を、止められなくなる。





「ま、恥じらう柚もかわいいんだけどね。」



返事に困ってると思ったのか、琉偉がフッと笑いながら言った。




「そ、そうじゃなくて…」



「ん?」




ゴクリ…と息を飲む。





「……一回じゃ済まないの。」




ぼそっと呟いた私の一言に、琉偉が首を傾げる。




「だ、だから…キスとかね、一回しちゃったら、もっとって…思っちゃう。お母さんたちみたいに、挨拶程度でチュってするのとは違うの。止められなく…なりそうなの…」




カアッと顔が熱くなる。




でも、琉偉が何も反応してくれないから、チラッと見ると…



琉偉もまた、同じように顔を赤く染めていた。





「…あのさ、こんな襲えないところでそんなこと言わないでくれる?」




そんな琉偉のシャツの袖をきゅっと掴む。




「帰ったら…襲うよ?」



「……うん」




挨拶代わりのキス、なんて無理。



心臓破裂しちゃうよ。




私たちは私たちなりの、夫婦像が作れればいいな、なんて思った。