「ああー、経理課に戻りたい。」


「それは叶わない夢ですよ、先輩。」


溜め息を落とす藤子先輩の肩に、ポンと小夏が手を置いた。


「恨むなら、社長に気に入られちゃった自分を恨んで下さい。もう秘書課に骨埋めましょー」


藤子先輩は入社時経理課に配属されたのだが、二年立つのを待たず、仕事の出来る先輩を社長が秘書課に引っ張ってきたのだ。


「いえ、私はまだ諦めないわ。せめて40になるまではね。」


「先輩いくつになりました?」


流石、小夏。
普通に先輩に歳聞けるとは…
まあ、先輩も気にする人ではないが。


「32か33。」


「何ですか、32か33って。」


直ぐに小夏の突っ込みが入る。


「30過ぎてから自分の歳があやふやなのよね。」


「先輩相当疲れてますね。」


「それ、正確な歳言わなくちゃいけないとき焦りませんか?」


申込書とか書かないといけない時とか。
歳書く書類って結構ありますよね?


「その時は現在の西暦から生まれ年を引いて瞬時に頭の中で計算するから問題ないわ。まあ、あなた達も30越えれば分かるわよ。」


「「あんま分かりたくないですけど…」」


小夏と声が揃う。