そんな小夏を私はエントランスの端へと連れて行く。

エレベーターホールの中央に立つ私達の横を、帰路に付く多くの社員が次から次へと通って行き、ここにいては邪魔になってしまう。

それに…

小夏は只でさえ目を引く容姿をしている。

ぱっちり二重で、藤子(トウコ)先輩曰く、ひまわりみたいな派手顔可愛い系。

現に、通りすがる男性社員の殆どが小夏に視線を向けている。
こんな所に立っていては、地味な私は悪目立ちしてしまう。

そんな視線を避けるように、私は端に飾られた背の高い観葉植物の影に入った。



「ああ~私も倉庫管理課に行きたーい。」

「うちはもう人員足りてるから。」


無理とスパッと言えば、小夏はニヤリと笑う。


「ヒロが秘書課に戻れば席空くよね?」



戻ればって…

嫌な予感がしてきた…



「私、戻る気ないからね。」



傷は癒えたとはいえ、ここを出てあそこで働くということは…

想像しただけでも無理だ。