「あの、昨日はありがとうございました。」


鍵を掛ける私に雪斗君は勢いよく頭を下げた。


「それから…」と、とても言いづらそうに顔を上げた雪斗君は、凄く申し訳ない表情を浮かべている。


「俺のせいで彼氏さんに誤解されちゃったみたいで、すみませんでした…」


「あー、気にしないで。雪斗君のせいじゃないから。」


「でも…」


私は両手をぶんぶん降り否定するけれど、それでも雪斗君の表情は変わらない。

今、こんなことを思うのは申し訳ないんだけど…
なんだか、叱られて落ち込んでるシベリアンハスキーみたいだ。

雪斗君を見てると、真吾を思い出すなー

顔も似てなければ、身長もこんなに高くもないんだけど。


「それに、雪斗君を家に上げたのは、私が放っとけなかっただけなんだから。」


「ヒロさん…」


腕時計に目をやると、いつも乗るバスの時間が迫っていた。

次のバスでも間に合いはするが、混み具合が酷くなってしまう。


「じゃあ、私、仕事に行かないと。」