「この借りは、ジュリエットで奢ってくれ。」


「良いですけど、そんなんで良いんですか?」


「ああ、勿論だ。」


借りを返すには見合っていない申し出に、嫌な予感がしたが、それが何かは直ぐに分かった。


「お前の彼女、ジュリエットで働いてんだよな?」


「そう言うことですか。」



この前の乱闘事件の折り、拓海さんにはヒロがジュリエットで働いているとだけ話していた。


『お前がそんだけ入れ込む子がどんな子か見てみたい。』と、それから何度となく言われたが、色々面倒臭くなるのは分かっていたから断っていた。


ここ暫くはそんな事も言わなくなったから、諦めたと思っていたが…

元々、拓海さんは良くも悪くも、諦めの悪い人だった。