「最後に地下です。」

『へぇ、地下があるんですか、』

「はい、」


ひと通り、案内してもらってから、
最後に地下に案内してもらうことになった。

「和調様のために改造致しました。」

『...え、? どういうことですか?』

「見て頂ければ分かります。」

『は、はぁ。分かりました。』


そう言って階段を降りた。



すると、


『!! ...すごい、』


そこには、

一軒家の洋風な内装とは打って変わって、

とても落ち着く色味の和風な内装に変わっていた。


そして、目の前の畳の廊下の先には2つの上半分が障子で下半分が透明なガラスの中が少し見える引き戸があった。


そのことを理解出来た頃には、


『わあ!すごいっ!!畳のいい匂い♪』

私は凄くテンションが上がっていた。



「驚くのはまだ早いですよ。」

そう言って執事さんは、ふたつあるうちの左側の扉を開けた。


するとそこには、全壁鏡張りのスピーカーがセットしてある、半分畳で半分普通の床の部屋があった。そしてその部屋の奥にはクローゼットとタンスがあってそこにはバレエの時の服と着物が約70着ほどずつ閉まっていた。

そして、日本舞踊とバレエで使う小物もたくさん揃っていた。

「ここは見てわかるとおり、日本舞踊とバレエ用の和調様のお部屋でございます。」


これ全部揃えるので絶対5000万は超えてる。

『...本当に?私が使っていいんですか?』

「はい、和調様のために改造したのですから、自由にお使い下さい。一応あまり音は外に聞こえないようになっていますが、完全防音室ではありませんので。」


『すごい!嬉しいです!ありがとうございます!』


はあ、今さっきまで不安でいっぱいだったのに、これ見たらワクワクしか無くなってきた。


そう思って、頭にお花畑を浮かべていると、

「まだございますよ。隣のお部屋の紹介がございます、」


『はい!』


――――――――――――――――

右の部屋に行くと、

今度はすべて畳の、ザッ和室っていう感じの綺麗な和室があった。

そこには、
茶道、花道、書道、香道、の道具と筝、三味線が置いてあった。

『凄いです!!』

「ここも和調様のお部屋でございます。」

『嬉しいです!もう嬉しいとすごいしか言葉が出ないです。』


「それはよかった。ではひと通り紹介を終えましたので最後に今日の説明をしてから私は帰ります」


『はい、ありがとうございました。』


「いえ。では、今日の6時頃に永和様がこの家に帰られますので、それまでに夕飯の支度をお願いします。それが終われば、あとは好きなことをしていただいて結構です。」


『はい、分かりました。』

「永和様は和食がとてもお好きなので覚えておいてください。それと永和様はとてもお体が弱いので、支えてあげてください。喘息になった場合は、ダイニングルームの引き出しに吸入薬と薬がありますので、」

『はい。了解しました。』


「では私は帰ります。」

『ありがとうございました。私のためにこんなに大きなことをしてもらって、私、恩返しのつもりで一生懸命頑張ります。
一生永和さんに尽くすと誓います。
何があっても、』


「はい、永和様と仲良くなれるといいですね。悪い方ではございませんので、あまり身構えなくて大丈夫だと思います。頑張ってください。陰ながら応援させていただきます。ニコリ」

と、執事さんは優しい笑顔を見せた。


『はい、ありがとうございます。』

出来るだけ仲良くなれるようにしよう。
尽くせるように頑張るしかないよね。


『あ、そうだ。執事さん、私と同い年くらいだと思うんですが、名前教えて貰ってもいいですか?仲良くなりたいので、』

そう私が問うと少しびっくりしたように、
でもすぐににこりと笑って、


「はい。私の名前は美輪露李(みわつゆり)です。和調様と同い年です。」




執事さんを外まで見送ったあと、

私は肉じゃがと揚げだし豆腐、たけのこの出し炊きご飯、豚汁を作ることにした。


1時間後、
ひと通り作り終えた私は、

着物に着替えて、お茶を立てることにした。

『今が、4時30分だからとりあえずお茶立てて、ちょっとだけ筝弾こう。』


そうして、ちょっとだけと言いながら、時間を忘れて没頭してしまった。