中に入ると、凄く広かった。

奥の方からこの家の執事らしき人が来て、
「ついてきてください」と言った。

私はコクリと頷いて、黙ってついて言った。



ある一室に連れてこられた私と弟達は部屋の真ん中にあるソファに座らされた。

そしてその部屋にいた、この家の主らしき人から話を聞くことにした。

『静かにお話聞けるかなー?』

陸凛「「はーい!」」

『おお!いいねー!』


「ははっ(笑笑」

『?』

「賢くまっすぐ育っておられる。さぞお姉様とご両親が健やかな方なのでしょう。」

「…うちとは違う。」

え、?


「申し遅れました。私は神崎グループの現社長。神崎龍之介(かんざきりゅうのすけ)です。

単刀直入に言わせていただきます。
和調さん、あなたに神崎家の跡取り、神崎永和(かんざきとわ)の嫁になっていただきたい。」

え、

「そして永和との子を産んで欲しい。」




ええ?子ども!?



「というのも、神崎家の家系は代々酷く短命で先代では30代で、私が2歳の時に亡くなられています。」

「そこで選ばれたのが君です。」



はい!?

『待ってください!理解出来ないです!そんな検査受けた覚えもありませんし、』



「検査なら受けられましたよ。」


『えっ?』



どういうこと?



「先月献血受けられましたよね。あれは神崎のチャリティーだったんです。」

あ"ー!ジュース目当てで受けたやつ!



「もしこの提案をあなたが受けてくださるのであれば、今後のあなた達の生活の全てを、一生、神崎家が保証させていただきます。」




一生。

この言葉がストレートに心に響いた。





「和調さんには息子と一軒家で2人で暮らして欲しいのです。」



『ふ、二人でですか!?弟達と離れて暮らすんですか!?』



「子作りを最優先にして欲しいのです。
その代わりと言ってはなんですが、ご弟妹には最高クラスの教育をご用意させていただきます。」



弟達には私がいなくなっても生活できるようになって欲しい。


もし私が事故とかにあって急に弟達2人だけで生きていかないといけなくなったら2人は間違いなく路頭に迷う。



私はお母さんに弟達を任されたんだ。

何としてでも生きていかなきゃいけない。



うん。



『分かりました。受けます。』



「ありがとう。そう言ってくれると思っていたよ。新居には君の好きなものを用意しよう。なんでもいってくれたまえ。」


えっ!!(("✪ω✪"))ギラギラ


ううん、ダメ。
私が子供みたいになってはだめ。


『いいです。大丈夫です。』

「遠慮しないで、ちゃんと言ってくれ。
言ってくれないとこちらが困る。」

困る?

でも、私がワガママ言っていいのかな。


すると、私の心が読めるみたいに、神崎さんが、コクりと頷いた。



『え、じ、じゃあ、結構ありますけどいいですか?』

「ああ、なんでもいってくれ。」

『じゃあ、茶道、花道、香道、書道、日本舞踊、筝、三味線、着付け、バレエが出来る部屋が欲しいです。和室がいいです。』


私が早口言葉みたいにそう言うと、

「......」



神崎さんは黙ってしまった。


あ、ちょっとわがまま言いすぎたかな、

しまったΣ(|||▽||| )、私がそう思った時、

「分かった。手配しておくよ。
君は伝統文化全般が出来るのか?」

神崎さんが訪ねてきた。

私は少し遠慮気味に

『はい、一応。』

といった。