─コンコン





「失礼します、玉木です」


「おっ!来た来た!」






ふわっと笑う山田先生。



ほら、ね?





いつもの先生だ。






「今日は本当にすみませんでした」


「ん、いいよいいよ!反省してるなら。」


「ほんとですか?!」


「…ただまぁ、その反省がちゃんと行動に見えないと、


成績下げることになるけど」


「え?」


「それよりもさ、玉木さん数学の点数やばいでしょ」


「ゔ…はい…」


「俺が教えてあげよっか?」


「え?!ほんとですか!!」


「うん!ちゃんとお願い出来たらね?」


「…?」







あれ、そういえば…






「山田先生って自分のこといつも僕っ「教えなくていいの?」


「え?!」


「人に何か頼むときはちゃんとお願いしろって教わらなかった?」


「山田先生…?」


「ほら、早く」


「…数学死にそうだから教えてくださいっ!」







流されるまま、とりあえず頼んでみたけど。




その一瞬で山田先生は口角を怪しく上げた。




「ふふ、いいよ」





それに気付かない私は、



いつもの先生に戻った彼に希望を抱く。





「ほんとですかっ?!」


「うん!」


「やった…っ」


「…で?俺の時間を割いてやるんだから、それなりの事はしてくれるんだよな?」


「………はっ?」







今までとは比べ物にならないくらい、






山田先生は不自然な笑みを私の瞳に映した。