「じゃあ、帰ろっか」

「うんっ!」

海斗くんは、私の手を握ってくれた。

だから私は、握り返した。

「おじさん、帰って来ないの?」

「うん。お仕事、大変なんだって。だけど、すごく喜んでたってママ言ってた」

パパはお仕事の関係で、アメリカに行っている。

私が6歳の時から。

だけど、卒園式や入学式には来てくれたけどね。

「そっか」

「あっ、海斗くーん!」

「……っ」

「チッ……」

海斗くんは舌打ちをして、女の人を見た。