『…世界は終わる。いや、世界は終わったのか。俺の声を聞く人はもう居ないのかもな…。(ジジジ)…何もnいこの世界で何をすればいいのか。不思議に苦じゃない生活が逆に苦だったり。……ああ、俺今誰に話してるんだろう、、kんなこと…なら俺もsねばよか…た…な(ジジジッ)…苦しいなあ……。もう…やめ…よ…k…なあ。(ジジジジジジッッ)……(プツッ)』
小さなラジオが途切れ途切れに電波をひろっていたが向こうが交信を断ってしまった様だ。
無理もない。
何のために何をして生きろというのか。
20代半ば程の男がじりじりと鋭く日の刺さるアスファルトを力無く歩を進めた。
男はこの閑散とした街には明らかに似合わないジャケットスーツを着て不自然な程綺麗な身なりをしていた。
力無い歩みではあったものの姿勢もきちんとしている。
男の姿は周りの風景から酷く浮いていた。
彼を軽蔑して見る目、奇怪そうに見る人、
普通ならあるはずのそれはなかった。
そこには誰もいないのだ。
少なくとも男のいる鴨区には人っ子一人、
鼠すら1匹もいない。
それも数週間も暮らせば慣れてしまうのだが。