「……………えー、新入生の皆様は…」



眠い。

昨晩緊張してあまり眠れなかったせいか、とても眠い。

左手の甲をつねってもなかなか眠気は覚めてくれない。

頑張れ、自分…。 


「なあ、あんた大丈夫か?」

「……?」

私に話し掛けたんだよな?

「体調悪いのか?」

「……いや、問題ない。」

「…そう。」

きっと眠気に耐えている私があまりにも見るに絶えず、この私の隣に座る男子生徒は気を遣ってくれたのだろう。

しかしその。

何というか…。


見た目がこの厳格な学校に入学したにしてはあまりにも見た目が不良だ。

顔立ちは端正なのだが。

きっとイケメン、と言われる部類なのだろうが。

白に近い金髪…は染めているのか。

一体何個ピアスを付けているのか。

どうしたら入学早々制服を着崩せるのか。


私に声を掛けてくれた彼はもしかしたら少しヤバい人、なのかもしれない。