出来損ないの黒宮さん

「あ、舞の唄すげえ上手いから。本当腰抜かすくらい。なあ源。」

「確かに、舞の唄は上手いな。」

「そうなのか。それは聴くのが楽しみだな。」

「ちょっ、日向も源も!買いかぶりすぎだから!信乃ちゃん、確かに好きだけどそんな上手とか、無いから、ね!!」

舞が一気にまくし立てる。

圧がすごい。

「はい!私の番は終わり!!次は源よ。」

「俺?信乃じゃなくて?」

「当たり前でしょ?信乃ちゃんにはトリをつとめてもらうんだから………って源、いつから信乃ちゃんのこと呼び捨てにするようになったのよ。」

「さっき。」

ああ、そう言えば。

「私からお願いしたんだ。舞に信乃と呼んでもらえたのが嬉しくて…。これまで人に名字でなく名前で呼ばれるなんて無かったから、つい。」

「…………」