子供の頃は本ばかり読む、内向的な子供だった。友人も少なく、虐めもあった。いつしか学校嫌いになり、本格的に辛かった高校時代に不登校になった。拒食症にかかり、165cm42kgで骨と皮しかなかった。ろくに動けず、頭も働かない。それでも太るのが怖く、食べられなかった。それまで傍観していた母に病院へ連れて行かれ、そこでは漢方薬だけを処方された。その頃には自分の身体の危険さを自覚していた為、その病院には二度と行かずにとにかく食べた。あっという間に70kgになり、今度はデブで虐めが始まった。人間は異質な物に敏感すぎる。
こんな事を書くと憂鬱な気持ちになるけれど、書くことで得る物もあると思う。前に進みたかった。

今思えばまだ幸せと言えたのは中学生の時。父の暴力もなくなり、文集の可愛い子の欄に入ったり、告白を受けたりした時代だ。好きな男子がいたので断っていたけれど、放課後待ち伏せされたのは怖かった。あれがあったから、追われるより追う方が良い様な気持ちになった。私は放課後の教室から、好きな男子のサッカーを見るのが好きだった。友人が彼と仲良かったから、話す機会がない訳でもなかった。あるとき1つの机の上に2人で座って何人かで会話をしたことがあった。幸せな思い出だ。私は彼と付き合いたいと思ってはいなかったから、それだけで充分だった。付き合うと言っても、基本的に人付き合いは苦手だし何をするものかよく分かっていなかった。純粋に好きで、欲がなかったのだと今は思っている。

私はひとつだけ、日常を逃避できる趣味を持っていた。所謂ビジュアル系のバンドの追っかけだった。とても楽しかった。大変だったのは、本気でバンドマンを好きになってしまうこと。欲が出た。だけど最後に好きになったバンドマンに振られて、バンドのファンを上がった。もう何も楽しいことのない人生。あの頃の私が何を考えて生きていたか、全く覚えがないのだった。つまりバンドの世界は私の全てだった。それを失くしたのだ。空虚だった。

そして、23歳の夏、私は出会う。
これ以上ないくらい、私を堕落へと誘う存在に。