私はその恋を、エアポケットのような物だと思っていた。時空の歪みに堕ちて、二度と這い上がれない。そんな恋だと。幸せなんかじゃなかった、あり得なかった。一緒にいればいるほど、私が不幸せになるのが分かりきっていた。何故、離れられなかったのか。それは彼等の魔力に魅入られし者のみぞ識ること。関わらないでいられれば幸せだし、関わっていても考え方次第では幸せでいられるのだ。根っからの不幸体質の私は、良い鴨だった。寂しいから不幸せで、会っても不幸せ。何処にも逃げ場はないと思い込んでいた。此れは馬鹿な女の夢が破れ、そして悪夢を希望へと変えるまでのお話。