スイーツよりも甘くとろけさせて

邪魔をしないように静かに近付き、背後から一緒に眺めていた。


このホテルは晴空君のお父さんが修行した場所で、現役時代に作ったウェディングの生ケーキの写真が飾られていた。


写真の下に小さく苗字でサインがしてあり、晴空君一家の苗字は珍しいので直ぐに分かった。


「…店長の…だよね?」


「うん。今でも飾ってくれてるとは思わなかった…」


物珍しそうに眺める晴空君の横顔は、どこか微笑んでいるかのように感じられた。


分かりずらいけれど、修行時代のお父さんのウェディングケーキに出会えて心の中では喜んでいるのだと思う。


「こんにちは。今、大人気のパティスリーの東雲(しののめ)パティシエのケーキの写真なんです。この飾り付けが気に入って貰えて、同じ物を頼む方が多いんですよ」


二人で眺めていたら、ブライダルコーナーから担当者らしき方が出てきて私達に笑顔を振りまく。


「そうなんですね、この人、東雲さんの息、、むぐっ…!?」


「そうですか、ありがとう御座います…」