スイーツよりも甘くとろけさせて

晴空君は「大丈夫?」とも「濡れちゃった?」とも聞かないけれど、私を気遣って最優先の行動に出てくれた。


バックに忍ばせた二本の折り畳み傘の出番が後々にずれ込んだが、なるべくなら出番がない方が良い。


本当はホテルまでの道程を歩きながら景色を眺めて、色々とお話したかった。


普段からスイーツの話ばかりだから、掛け離れた話題をする為にも貴重な時間となるはずだった。


「ありがとう、濡れずに済んだよ。雨は一時的なものだったね」


「……そうだね」


タクシーから降りる頃には雨が上がり、雲の隙間から少しだけ晴れ間が見えている。


ホテルの入口に入り、辺りを見渡せばブライダルフェアが開催されていて、エントランスは賑わっていた。


気付けば、私の前を歩いていた晴空君の姿が見えなくなった。


周囲を見渡して探し出し、ランチブッフェの受付に向かうのかと思えば、私が真後ろに居ない事にも気付かずにフラフラと立ち寄った場所が・・・・・・。


ブライダルコーナーの一角にある、ウェディングケーキの写真展示の場所に立ち尽くし、眺めている。