付き合って二年になったけれど、キス以上の進展は無い。


お家デートしてても御両親は在宅だし、私が一方的に押しかけているだけかもしれない。


「…晴空君、……私の事、好き?」


「……うん。穂奈美、とりあえず、マカロン出して置いて。今、ブライダルに使う生ケーキのスポンジ焼いたりしてて忙しいから…」


「…はぁい」


突拍子もなく質問した事柄に無表情であっさりと『はい』と言われても、真実味があるのか無いのか分からない。


淡々と仕事の指示をしていく晴空君は無表情で無愛想。


私にだけでも、少しでもニコリと笑ってくれたりしないものかな?


ガラス窓から厨房を覗き込むと生クリームの仕上げをしてる時やフルーツの飾り付けをしている時の晴空君は、少しだけ微笑んでいる感じもする。


仕上がりの満足感からだろうか?


私よりもケーキにかける情熱が溢れているせいだろうか?


そんなだから、物言わぬケーキが憎たらしく感じる時がある。