季節は冬にさしかかっていた

舞「悠真、おはよう!」
悠真「はよーっす…ふわぁ…」

愛おしい…恋を自覚してから悠真の行動全てが愛おしく思えた

舞「寒いね〜」
悠真「ほんと…眠い…」
舞「授業中寝ないようにね?」
悠真「無理」
舞「そんな事言わない!」
悠真「ならアンタが起こしに来てよ…?」

色っぽい笑顔で言われドキッとした

舞「な……っ!」
悠真「顔真っ赤、意識しすぎ」
舞「悠真のせい…//」
悠真「はいはい」

もうクラスの前まで来てしまった

舞(悠真と一緒だとあっという間だなぁ)
悠真「じゃあ」

離れていってしまった

舞「B組が隣ならよかったのに…」
明凛「恋のお悩みですか〜?あ、よかったね!気持ち見つかったみたいで」
舞「あ、明凛…うん、ありがとう」
明凛「がんばれよ〜」
舞「うん!」

ーお昼休みー

悠真「舞」
舞「どうしたの?お昼はいつも…」
由梨「悠真くん!一緒に食べない?」

芦名由梨 クラスメイトだ
悠真の追っかけの一人でリーダー的存在

悠真「悪い、俺、舞がいるから」
由梨「そんな事言わないの〜!」

そう言いながら由梨が悠真の背中を押してどこかに行ってしまった

明凛「今さらなんなのよね!伊野田くんは舞のものなのに」
美紀「ほんとほんと!」
舞「まだ、違うの」
二人「ええぇっ?!」
明凛「付き合ってたんじゃないの?!」
美紀「私もてっきり…」
舞「一方通行なの……」
明凛「ばか!それならいつどこで誰にとられてもおかしくないのよ?!」
舞「わかってるんだけど…私よりふさわしい人がいるし…」
美紀「いーまーせーん!由梨でしたっけ?あの人より全然舞ちゃんの方がふさわしいです!」
明凛「美紀ちゃん…意外と毒舌…」
舞「うーん…」
明凛「はいはい、考えないで動く!行ってきな!」
美紀「ほら行ってらっしゃい!」
舞「ええっ?」

気がつけば校内を走っていた
それも、全速力で…

舞(確かに、あの人にとられるのは、嫌!)

見つけた、と思ったら
最悪な場面を見てしまった

由梨「だーいすき♡」

キスをしていたんだ、二人が
窓越しだけど確かに見えた

舞「……っ!」

悠真と一瞬目が合った
その瞬間、悠真が由梨をどけて走ってきた

悠真「舞……!」
舞「……」
悠真「違う!誤解だ!」
由梨「なによ、悠真くん!」
舞「いいよ、お似合いだよ、二人とも」
由梨「でしょでしょ〜?」
悠真「全然お似合いじゃないから」
舞「じゃあ…」

最悪だ
本当に最悪だ

明凛「あ、舞!どうだった?」
舞「とくになにも…」
美紀「舞ちゃん?」
舞「二人がキスしてるとこ、見ちゃった」
二人「え…」
舞「そのあと悠真が誤解だって言ってくれたけど、信じられなくて…」
明凛「ならいいじゃない!伊野田くんの言葉を信じれば」
美紀「そうですよ!信じればいいんです!」
舞「……っ」

これで何回目だろうか
私と悠真がすれ違ったのは
お互いに傷つけあったのは

舞「すれ違ってばっかりで、傷つけあってばっかりで…」
明凛「舞…」
美紀「とりあえず、話してみましょう?」
悠真「舞、話がある」
明凛「ほら、行ってきなさいよ」

二人に背中を押され悠真のところに行った

悠真「さっきはごめん。全部誤解なんだ。あいつとは何もない。」
舞「庇ってるんでしょ…!言い訳はいい!」
悠真「そんなんじゃない!俺はアンタに言いたいことがあるんだ」
舞「なんにも聞きたくない…」

つい本音が出てしまった

悠真「……舞」
舞「…っ!」

悠真が泣いていた
初めて見た

舞「ご、ごめん…少し取り乱しちゃって…」
悠真「いいよ。俺のせいだし」
舞「ちゃんと聞く、だから話して」
悠真「ありがとう」
舞「…うん」
悠真「俺、アンタが好きだよ」

一瞬時間が止まった気がした

舞「ゆ、悠真…っ?」
悠真「好きだよ。もう俺アンタなしじゃ生きていけないくらいに」

涙がこぼれていた

舞(好きな人に好きって言われることがこんなに幸せなことだなんて、知らなかった…)
悠真「アンタに恋してる」
舞「私も…悠真が好き、大好き……っ」
悠真「ん…」

私の頭を優しく撫でてくれた

やっぱり私の隣は悠真しか、いない