夏が過ぎ、紅葉が綺麗な季節になった
秋の真っ只中だ

明凛「今年の夏も終わった〜」
美紀「とくに何もなかったね」
舞「……」
明凛「一人心配な人がいるんですけどね」
美紀「舞ちゃん?大丈夫?」
舞「…え?なに?」
明凛「はぁ、舞は伊野田くんのところにでも行ってくればいいのに」
舞「なんでそうなるの…」
美紀「伊野田くんのことばっかり考えてるんだよね?」
明凛「顔に書いてあるよ、悠真に会いたいって」
舞「え、えぇっ?!」
美紀「ふふ、かわいい」
明凛「恋する乙女だねぇ」
舞「そんなんじゃないよ…自分でも、わからないの…悠真に対する思いが」
明凛「ふーん?早く見つかるといいね?」
美紀「…舞ちゃん、少しお話しませんか?」
舞「…え?」
美紀「次の授業出ませんって伝えといて、明凛ちゃん」
明凛「りょーかい!」

美紀ちゃんに連れられたまま中庭についた

舞「どうしたの…っ?」
美紀「体育祭が終わって、夏が過ぎて、時間だけが進んでるって感じだよね…」

そう言いながら美紀ちゃんは空を仰いだ

舞「……うん」
美紀「もう、自分で分かってるんじゃない?その気持ちの答えが」
舞「……っ」

”恋” そう名付けるのが怖くて
ずっと避けてきた
悠真にとってこんな感情は必要ないから
絶対迷惑だから

舞「私、怖いの…。この気持ちに名前をつけちゃったら…悠真との関係が崩れちゃうんじゃないかって…」
美紀「舞ちゃん…」
舞「そうなるなら、今のままでいい…っ」

泣いちゃダメだ、そう分かっていても
涙が出てきそうだった

美紀「辛い、ですね…私には2人の昔のことも何も知りません。けど…」

すると美紀ちゃんが私の胸に手を当てた

美紀「舞ちゃんの気持ちで2人の関係は崩れませんよ。幼馴染っていう長い間ずっと一緒にいた時間が2人を繋いでくれるはず…」
舞「美紀ちゃん……」
美紀「大丈夫。ちゃんと届きます」

美紀ちゃんは真っ直ぐな目で私を見つめて頷いてくれた

舞「ありがとう、私、伝えたい…」

曖昧なままじゃ嫌だ
好きなんだ、私は、悠真のことが
今まで怖くて名付けられなかったけど
今ならちゃんと言える

舞「私は悠真に恋してる…」

美紀ちゃんは優しく微笑んでくれた