小関先生「ついに体育祭だ!みんなで楽しんで優勝するぞ!!」
クラス「おおおーっっ!!!」
それぞれ準備万端でグラウンドに向かった
舞「ねぇ!これ絶対おかしい!」
明凛「かわいいからっ!」
舞「美紀ちゃん!どう??」
美紀「安心して、舞ちゃん。かわいいよ」
明凛「ほーら!大丈夫だって!」
舞「うぅ…」
海咲「わぁ、A組すごいねぇ」
私たちA組の女子の衣装はチアダンスのような衣装だった
舞「恥ずかしすぎる」
明凛「私のセンスは最高ねっ!」
海咲「あ、もう次の競技始まるよ。次は私たちB組の出番ね」
二人「行ってらっしゃい!」
舞(ということは…悠真も出るのかな)
アナウンス「続いては3-Bのダンスです!」
明凛「前行こ!」
舞「あ、うん」
女子たち「きゃー!悠真くん!!!」
明凛「相変わらずすごいねぇ、人気度」
舞「ほんとね…」
明凛「舞も混ざってくれば?」
舞「絶対嫌だ」
明凛「はいはい〜」
舞「私、日陰で休んでくる」
明凛「何かあったら電話ね?」
舞「分かってるってば」
グラウンドから少し離れた中庭で涼んでいると、この学校に来たばっかりの頃ここで悠真に避けられたことを思い出す
舞「悠真もここに座ってたっけ…」
思い出すだけで涙がこぼれそうになる
舞「だめだめ…!泣くな!佐倉舞!」
悠真「舞……?」
舞「え?」
悠真「なにやってんの?早くどいてくれない?」
舞「私が先に座ってたんだから、嫌」
悠真「はぁ…」
舞(意地でもどかないもん…)
悠真「…俺のこと追いかけてきたの?」
舞「そんなんじゃない!」
すると私のスマホが鳴った
舞「あ、明凛?うん、そうなの?今すぐ行くね!」
悠真「はい、どいて」
舞「………」
心の中であっかんべーをして私はすぐグラウンドへ向かった
明凛「あ、舞!ごめん、美紀が怪我して…代わりに走ってくれない?」
舞「わかった。何コース?」
明凛「3コース。頼んだよ!」
美紀「お願いします…!」
審判「位置について…よーい」
パーン…!
舞(なんとか頑張らきゃ)
これは借り物競争で紙に書いてあるものと一緒にゴールを目指す
舞「えっと……」
紙には”幼馴染”
舞(タイムリー…!!)
明凛「舞ー!なんて書いてあるのー?」
舞「私、絶対ゴールできない!だって…」
明凛「嘘…まさか幼馴染?!」
舞「…うん!」
明凛「連れてくる!!」
舞「そんな…」
戸惑っていると目の前に影が落ちた
悠真「アンタの幼馴染なんてこの学校で俺しかいないでしょ」
舞「悠真……っ?!」
悠真「行くよ」
そう言うと手を差し出した
舞「………っ」
舞(泣いてる暇なんてないのに…)
悠真「はぁ…」
泣きそうになる私を見て悠真は強引に腕を引っ張ってゴールに向かって走った
舞「悠真……」
悠真「とりあえず走って」
パーン…!
アナウンス「A組が1位でゴール!借り物は幼馴染でした!」
女子たち「きゃーーーっ!!あの転校生と悠真くんが幼馴染?!?!」
明凛「お疲れ様〜!」
舞「…うん、ありがとう…」
悠真「じゃあ」
舞「………っ」
海咲「今の瞬間で女子の目線が舞に集まってるよ」
舞「最悪だ……。女子全員を敵に回した」
明凛「女子ってめんどくさいよね〜」
海咲「B組の女子は落ち着かせとくよ」
舞「ありがとう〜…」
美紀「舞ちゃん!さっきはありがとう!本当にありがとう…!」
舞「ううん!役に立てて良かった!」
美紀「うん…!」
アナウンス「選抜リレーが始まります」
舞「私……」
明凛「だーめ!一緒に見るよ!」
舞「ちょ…っ?!」
審判「位置について、よーい」
パーン…!
海咲「伊野田くんに注目だね〜」
明凛「ほら、次だ!」
舞「………」
女子たち「頑張ってーー!!!!!」
すると悠真が転んだ
バトンが落ちた……
明凛「やっちゃったね〜…」
海咲「伊野田くんが転んだの初めて見たよ」
舞「……」
明凛「おーい、大丈夫??」
海咲「顔が死んでるんですけど〜?」
舞「え……?」
海咲「伊野田くん来たよ、手当てしてあげな」
舞「悠真のこと手当てしたい人なんて山ほどいるでしょ、ほら」
私が指さした先は女子たちに囲まれる悠真の姿があった
でも何故か悠真はこっちに向かって来た
悠真「舞、俺の手当てしてくれない」
舞「……はい?」
悠真「来て」
そう言うと悠真は私の腕を引っ張り中庭に連れ出した
舞「な、なによ。ほかの子に手当てしてもらえばいいのに…!私なんかのところに来たりなんかして…」
悠真「舞…?」
気がつくと私は心の声も口に出していたようだった
舞「そ、それは…私より手当て上手い子とかいるだろうし…」
悠真「舞がよかった。それだけの理由だから」
舞「な…っ」
心臓に悪い…
昔の悠真じゃないのに、何故か心が掴まれた気がした
舞「足出して…」
悠真「ん、よろしく」
何を話せばいいか…というか話したくないし何も聞きたくない
舞「はい、これで大丈夫。じゃあね」
悠真「ありがと。…待って」
舞「なに…」
悠真「何も聞かないの?」
舞「…うん」
悠真「アンタらしくもない」
舞「……っ!」
私は泣いていた
舞「私が今聞いたら全部話してくれるの?!誤魔化さないで、全部!昔の悠真じゃない理由も、全部だよ?!」
あぁ、言ってしまった
私が思っていたことを、全て
悠真「……いいよ、こっち来て」
舞「……」
促されるまま悠真の隣に座った
悠真「俺が小学生のときに転校したのは、親が死んだから」
悠真はお母さんしかいなかった
ということは、そのお母さんが亡くなったわ
けだ
悠真「それで、今は一人暮らし。昔の俺じゃないってどういうこと?」
舞「昔の悠真は、優しくて思いやりとかに溢れてる人だった…」
悠真「なんだろうな、両親なくして一人で。だったらもう人と関わりたくないって思った。一人でいた方が楽だし、母さんが死んだのも俺のせいだ。母さんは一人息子の俺を一生懸命育ててくれた。けど俺は……。俺と関わると相手を不幸にする」
言葉を失った
悠真はそんな過去を一人で背負っていたんだ
舞「悠真…」
精一杯の気持ちで悠真を見つめると
悠真の綺麗な瞳には涙がたまっていた
悠真「こんなの、誰にも話したことなかった…。唯一の幼馴染のアンタと離れてから、一人だったんだ、ずっと。だからアンタがこの学校に来たことを知ったら、どうやって接すればいいか分からなくなった」
切ない、悲しい、悔しい、そんな感情が溢れてきた
舞「ごめん……ごめんね…」
悠真「なんでアンタが謝るんだよ」
舞「昔の悠真とか、言っちゃって、悠真のこと何も知らなかった…」
悠真「アンタは変わらないな」
舞「悠真も全然変わってない…っ」
悠真「舞…」
私の名前を呼ぶと悠真は私を抱き寄せた
悠真「ずっと、アンタを探してた気がする…」
舞「会いたかった……」
お互いに抱きしめて、泣いて
いつしか閉会式も終わっていた
舞「ごめん、体育祭終わっちゃった…」
悠真「いいよ。アンタと話せたから」
舞「うん、私も嬉しかった」
悠真「もう、前の俺たちみたいになったのか?」
舞「ううん…また、新しい私たちになったよ」
悠真「……そう」
微笑みあって、グラウンドに戻った
明凛「舞ー!終わっちゃったよ?!」
舞「あ、ごめんね。手当てに手こずっちゃって」
明凛「手当てに2時間もかかります〜?」
舞「悠真と、話せたの」
明凛「通りで。顔が明るい」
舞「ほんと?そんな出やすいかな…」
海咲「ハッピーエンドってやつか」
舞「海咲!」
海咲「よかったね、舞」
舞「うん!ありがとう!」
そうして最後の体育祭は終わった
クラス「おおおーっっ!!!」
それぞれ準備万端でグラウンドに向かった
舞「ねぇ!これ絶対おかしい!」
明凛「かわいいからっ!」
舞「美紀ちゃん!どう??」
美紀「安心して、舞ちゃん。かわいいよ」
明凛「ほーら!大丈夫だって!」
舞「うぅ…」
海咲「わぁ、A組すごいねぇ」
私たちA組の女子の衣装はチアダンスのような衣装だった
舞「恥ずかしすぎる」
明凛「私のセンスは最高ねっ!」
海咲「あ、もう次の競技始まるよ。次は私たちB組の出番ね」
二人「行ってらっしゃい!」
舞(ということは…悠真も出るのかな)
アナウンス「続いては3-Bのダンスです!」
明凛「前行こ!」
舞「あ、うん」
女子たち「きゃー!悠真くん!!!」
明凛「相変わらずすごいねぇ、人気度」
舞「ほんとね…」
明凛「舞も混ざってくれば?」
舞「絶対嫌だ」
明凛「はいはい〜」
舞「私、日陰で休んでくる」
明凛「何かあったら電話ね?」
舞「分かってるってば」
グラウンドから少し離れた中庭で涼んでいると、この学校に来たばっかりの頃ここで悠真に避けられたことを思い出す
舞「悠真もここに座ってたっけ…」
思い出すだけで涙がこぼれそうになる
舞「だめだめ…!泣くな!佐倉舞!」
悠真「舞……?」
舞「え?」
悠真「なにやってんの?早くどいてくれない?」
舞「私が先に座ってたんだから、嫌」
悠真「はぁ…」
舞(意地でもどかないもん…)
悠真「…俺のこと追いかけてきたの?」
舞「そんなんじゃない!」
すると私のスマホが鳴った
舞「あ、明凛?うん、そうなの?今すぐ行くね!」
悠真「はい、どいて」
舞「………」
心の中であっかんべーをして私はすぐグラウンドへ向かった
明凛「あ、舞!ごめん、美紀が怪我して…代わりに走ってくれない?」
舞「わかった。何コース?」
明凛「3コース。頼んだよ!」
美紀「お願いします…!」
審判「位置について…よーい」
パーン…!
舞(なんとか頑張らきゃ)
これは借り物競争で紙に書いてあるものと一緒にゴールを目指す
舞「えっと……」
紙には”幼馴染”
舞(タイムリー…!!)
明凛「舞ー!なんて書いてあるのー?」
舞「私、絶対ゴールできない!だって…」
明凛「嘘…まさか幼馴染?!」
舞「…うん!」
明凛「連れてくる!!」
舞「そんな…」
戸惑っていると目の前に影が落ちた
悠真「アンタの幼馴染なんてこの学校で俺しかいないでしょ」
舞「悠真……っ?!」
悠真「行くよ」
そう言うと手を差し出した
舞「………っ」
舞(泣いてる暇なんてないのに…)
悠真「はぁ…」
泣きそうになる私を見て悠真は強引に腕を引っ張ってゴールに向かって走った
舞「悠真……」
悠真「とりあえず走って」
パーン…!
アナウンス「A組が1位でゴール!借り物は幼馴染でした!」
女子たち「きゃーーーっ!!あの転校生と悠真くんが幼馴染?!?!」
明凛「お疲れ様〜!」
舞「…うん、ありがとう…」
悠真「じゃあ」
舞「………っ」
海咲「今の瞬間で女子の目線が舞に集まってるよ」
舞「最悪だ……。女子全員を敵に回した」
明凛「女子ってめんどくさいよね〜」
海咲「B組の女子は落ち着かせとくよ」
舞「ありがとう〜…」
美紀「舞ちゃん!さっきはありがとう!本当にありがとう…!」
舞「ううん!役に立てて良かった!」
美紀「うん…!」
アナウンス「選抜リレーが始まります」
舞「私……」
明凛「だーめ!一緒に見るよ!」
舞「ちょ…っ?!」
審判「位置について、よーい」
パーン…!
海咲「伊野田くんに注目だね〜」
明凛「ほら、次だ!」
舞「………」
女子たち「頑張ってーー!!!!!」
すると悠真が転んだ
バトンが落ちた……
明凛「やっちゃったね〜…」
海咲「伊野田くんが転んだの初めて見たよ」
舞「……」
明凛「おーい、大丈夫??」
海咲「顔が死んでるんですけど〜?」
舞「え……?」
海咲「伊野田くん来たよ、手当てしてあげな」
舞「悠真のこと手当てしたい人なんて山ほどいるでしょ、ほら」
私が指さした先は女子たちに囲まれる悠真の姿があった
でも何故か悠真はこっちに向かって来た
悠真「舞、俺の手当てしてくれない」
舞「……はい?」
悠真「来て」
そう言うと悠真は私の腕を引っ張り中庭に連れ出した
舞「な、なによ。ほかの子に手当てしてもらえばいいのに…!私なんかのところに来たりなんかして…」
悠真「舞…?」
気がつくと私は心の声も口に出していたようだった
舞「そ、それは…私より手当て上手い子とかいるだろうし…」
悠真「舞がよかった。それだけの理由だから」
舞「な…っ」
心臓に悪い…
昔の悠真じゃないのに、何故か心が掴まれた気がした
舞「足出して…」
悠真「ん、よろしく」
何を話せばいいか…というか話したくないし何も聞きたくない
舞「はい、これで大丈夫。じゃあね」
悠真「ありがと。…待って」
舞「なに…」
悠真「何も聞かないの?」
舞「…うん」
悠真「アンタらしくもない」
舞「……っ!」
私は泣いていた
舞「私が今聞いたら全部話してくれるの?!誤魔化さないで、全部!昔の悠真じゃない理由も、全部だよ?!」
あぁ、言ってしまった
私が思っていたことを、全て
悠真「……いいよ、こっち来て」
舞「……」
促されるまま悠真の隣に座った
悠真「俺が小学生のときに転校したのは、親が死んだから」
悠真はお母さんしかいなかった
ということは、そのお母さんが亡くなったわ
けだ
悠真「それで、今は一人暮らし。昔の俺じゃないってどういうこと?」
舞「昔の悠真は、優しくて思いやりとかに溢れてる人だった…」
悠真「なんだろうな、両親なくして一人で。だったらもう人と関わりたくないって思った。一人でいた方が楽だし、母さんが死んだのも俺のせいだ。母さんは一人息子の俺を一生懸命育ててくれた。けど俺は……。俺と関わると相手を不幸にする」
言葉を失った
悠真はそんな過去を一人で背負っていたんだ
舞「悠真…」
精一杯の気持ちで悠真を見つめると
悠真の綺麗な瞳には涙がたまっていた
悠真「こんなの、誰にも話したことなかった…。唯一の幼馴染のアンタと離れてから、一人だったんだ、ずっと。だからアンタがこの学校に来たことを知ったら、どうやって接すればいいか分からなくなった」
切ない、悲しい、悔しい、そんな感情が溢れてきた
舞「ごめん……ごめんね…」
悠真「なんでアンタが謝るんだよ」
舞「昔の悠真とか、言っちゃって、悠真のこと何も知らなかった…」
悠真「アンタは変わらないな」
舞「悠真も全然変わってない…っ」
悠真「舞…」
私の名前を呼ぶと悠真は私を抱き寄せた
悠真「ずっと、アンタを探してた気がする…」
舞「会いたかった……」
お互いに抱きしめて、泣いて
いつしか閉会式も終わっていた
舞「ごめん、体育祭終わっちゃった…」
悠真「いいよ。アンタと話せたから」
舞「うん、私も嬉しかった」
悠真「もう、前の俺たちみたいになったのか?」
舞「ううん…また、新しい私たちになったよ」
悠真「……そう」
微笑みあって、グラウンドに戻った
明凛「舞ー!終わっちゃったよ?!」
舞「あ、ごめんね。手当てに手こずっちゃって」
明凛「手当てに2時間もかかります〜?」
舞「悠真と、話せたの」
明凛「通りで。顔が明るい」
舞「ほんと?そんな出やすいかな…」
海咲「ハッピーエンドってやつか」
舞「海咲!」
海咲「よかったね、舞」
舞「うん!ありがとう!」
そうして最後の体育祭は終わった
